糖尿病患者は嘘つき?夫婦2人での認識の違い

患者は嘘つき

私が看護学生として糖尿病患者さんの病棟で研修をしていた時の体験談です。

私は一人の糖尿病患者さんを担当することになりました。その方が、私の看護師人生において初めての受け持ち患者さんでした。私は受け持ちが始まる前から、どのように指導していこうかと、思いつく限りの作戦を考えていました。

患者さんは60代前半の男性で、つい先日、糖尿病と診断されたばかりでした。これまで特に体の不調を感じたことがなく、糖尿病関連の検査を受けるつもりはなかったけれど、退職を機に、奥さまから検査を勧められたということでした。

私は、その患者さんから、これまでの生活習慣をお聞きすることから始めました。

どのような仕事をしてきたのか、朝は何時に起き、夜は何時に眠るのか、毎晩十分に睡眠時間が確保できているか、便秘になっていないかなど、どんどんと会話を広げていきます。もちろん、日々の食事についても伺いました。

その方は、食事の話になると、さらに饒舌に話し始めました。

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旦那と奥さんとで話が違う

旦那さん

「私はね、昔は酒もタバコもやっていたし、口が裂けても正しい生活習慣とは言えなかった。甘いものや脂っこいものを好きなだけ食べていたし、欠かさず晩酌もしていた。でもね、この前、糖尿病と診断されてから、すべてきっぱりとやめたんだ。今は食事を厳重に管理している。妻にも糖分や塩分に気をつけて料理をするように伝えているよ」

という模範解答が返ってきて、驚きましたが、その時、隣に座って話を聞いていた奥さまが、なんだか納得のいかないような表情をされていました。

その後、こっそりと奥さまだけをお呼びして、個別にお話を聞きました。すると、奥さまはお冠な様子でした。

奥さん

「主人は、あんな風に言っていましたけど、本当は今でもたらふくご飯を食べています。私は、主人の体のことを考えて、なるべく塩分を控えて薄味でも美味しい料理を考えているのに、主人は濃い味に慣れていますから、それでは満足できなくて、結局、醤油やソースをかけてしまうんです。確かに、甘いものに関しては、以前のようにケーキやおまんじゅうは食べていないようですが、この前なんて、フルーツは野菜と一緒だからといって、イチゴを1パックまるまる食べてしまったんですよ!」

私は、2人の話が食い違いすぎて呆然とし、この先、どのように関わっていけばよいものか、全くわからなくなりました。事前に準備していた作戦は、どれも役に立つとは思えなかったのです。

私は、知識だけを淡々と述べても効果はないと考えました。そこで、この患者さんを指導する際には、必ず奥さまに同席をお願いすることにしたのです。

まずは、次回の指導日までの食事を、きっちりレコーディングするようにお願いしました。もちろん、患者さん本人主体で記録してもらいますが、こっそり奥さまにも記録をお願いし、指導日に、記録したものをそれぞれ持参していただきました。

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2人での認識の違い

2つを照らし合わせてみると、おかしなことに、異なる記載が多々あったのです。

もちろん、夫婦とはいえ四六時中一緒にいるわけではありませんから、完璧なデータが取れたとは言えませんが、例えば主食である白米の量などは、ご本人が小さな茶碗1杯と記載しているのに対し、奥さまは普通の大きさの茶碗1杯と記載していました。

私は患者さんが、私との面談のために故意に嘘の内容を記載したとは思いませんでした。この場合、客観的に見ている奥さまの記録の方がより正確だと考えられますが、この患者さんは、「これまでの量よりは我慢して減らしている」という意識から、いつもより少ない量と記載したのでしょう。

このご夫婦のやり取りからわかるように、自分の認識と他人の認識、つまり主観的な事実と客観的な事実は異なる場合があるのです。

糖尿病の食事療法を開始するにあたって、まずは自分の食生活をしっかりと分析することです。主観に頼っていると、自分の中では努力しているのに、なかなか成果が出ず、諦めてしまうことが多々あります。

家族のサポート体制がある場合には、客観的なデータを取る絶好のチャンスです。最初から厳密なカロリー制限をするのは、良い方法とは言えません。まずは日々の食事内容を記録し、データを揃えましょう。そこから、改善点が少しずつ見えてくるはずです。

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