2型糖尿病における薬物療法と使用上の注意点

糖尿病 薬

2型糖尿病はインスリン非依存性型糖尿病(NIDDM)とも呼ばれていた。インスリン分泌障害とインスリン抵抗性が見られる。成人に多く発症し、糖尿病患者の大部分を占める。

遺伝的には糖尿病の家族歴を有する者が多く。発症因子としては遺伝的要素に加えて、過食、肥満、運動不足、ストレスなどの環境因子があげられる。発症は緩徐で自覚症状がないまま進行する。ケトアシドーシスの発症は少ない。

治療にはインスリンが必須ではなく、食指療法、運動療法で改善することが多い。本症の予後は合併症の発症をいかに予防するかによって決まる。

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■経口薬の適応

経口薬は原則として食事・運動療法が適切に行われているにもかかわらず十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者に対し使用されている¹⁾。妊娠中または妊娠の可能性がある女性に対しては経口薬を使用せずにインスリン療法を選択する。

■2型糖尿病経口薬の種類

①インスリン分泌促進作用を有する薬物(スルホニル尿素)

スルホニル尿素(SU)薬は、膵β細胞のインスリン分泌機構のうち、ATP依存性カリウムチャネルに働きかけ、チャネルを閉鎖し、脱分極を引き起こすことで、インスリン分泌を促進する。

SU薬はインスリン分泌を促進するため、副作用として低血糖を起こしやすく、長引きやすいので注意が必要。インスリン分泌が長期間にわたって増加するので体重増加作用があり、血糖のコントロールが良好な場合でも食事・運動療法を確実に実施することが必用である。

②インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン誘導体)

インスリン抵抗性を改善することにより血糖を低下させる薬である。末梢組織のインスリン抵抗性は、2型糖尿病発症の原因となる。肥満を伴うインスリン抵抗性の症例にとりわけ有効な薬だが、水分貯留による心不全誘発の恐れがある。

③消化管からの糖質吸収を抑制する薬物・食後過血糖改善薬(α―グルコシダーゼ阻害薬)

小腸内の炭水化物(でんぷん、麦芽糖、ショ糖など)分解酵素、α―グルコシダーゼの作用を阻害し、消化管でのブドウ糖、果糖への分解を直接抑制することにより、糖質の吸収を遅延させ、食後の急激な血糖上昇が緩和する。

単独では低血糖を起こすことは稀だが、他の薬との併用により低血糖を起こすことがある。副作用として、消化時間の遅延に起因する腹部膨満感、放屁などがある。

④合的な作用を有する薬物(ビグアナイド系薬剤)

主な作用は

  • ブドウ糖を分解し乳酸にする嫌気的解糖を促進する作用
  • 肝臓での糖新生の抑制
  • 筋肉への糖の取り込みの促進
  • 腸管からの糖質の吸収抑制

などで、血糖が低下する。

膵臓への作用がないことから膵臓の疲弊がないというメリットがあり、SU薬よりも血糖降下作用は弱いが、最近ではインスリン抵抗性改善薬の作用や体重増加抑制作用も併せ持つことから見直されてきている薬である。

さらに、高脂血症を改善する作用や、体重を減少する作用なども報告されていて、動脈硬化予防の面からも注目されている。

しかし、副作用としてブドウ糖の嫌気的解糖を促進する結果、血液中の乳酸濃度が高まり、血液のpH低下を引き起こすことがある。これを乳酸アシドーシスという。

なお、初期症状として悪心、嘔吐などが起こるが、これらは乳酸アシドーシスに起因しない副作用が起こることがある。

■薬物療法における留意点

①低血糖について

低血糖は、どの血糖降下薬でも起こり得る副作用で、さまざまな要因で血糖降下薬の作用が強く出すぎた場合に起こる(とくにSU薬では注意が必要)。

症状としては脱力感、高度の空腹感、発汗、動悸、手足の震え、頭痛、意識障害などの症状が出て、重症になると痙攣を起こすことがある。

これらの症状が出た場合には、速やかに砂糖(ショ糖)を摂取する必要がある。ただし、併用薬にα―グルコシダーゼ阻害薬が含まれる場合は、ショ糖では分解が抑制されているため、吸収が遅れ、効果がない。そこで、ブドウ糖(グルコース)を摂取する必要がある。

とっさの時にはブドウ糖含量の多い清涼飲料などでも可。ひどい場合には気を失ってしまうこともあるので、いざという時のために糖尿病の治療を受けていることを明示したカードを持ち歩くことも大事。

②シックディ対策

平常時に血糖コントロールが良好でも、発熱や下痢・嘔吐、食欲不振時など具合が悪くなった場合(これをシックディという)、血糖コントロールが急激に悪化する場合がある。

食事がとれなくても高血糖状態になったり、ケトアシドース昏睡や高血糖浸透圧性昏睡といった急性の重症合併症がおこることもあるため、自己判断で薬の副用を中断したりすると大変危険である。具合が悪い場合はすぐに受診するように。

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